話題になっている塗料「アクリジョン」と 新たに発売された「アクリジョンベース」! クレオスさんのアクリジョンの製品説明や体験会の指導を 何度も担当させていただいている香坂が、丁寧に解説しています。
アクリジョン塗料の特徴

アクリジョンの中の素材は、水がベースになっているので机の上での使用も可能です。個人差がありますが匂いも水性絵の具に似た匂いがする程度で、お子さまにも安全な塗料となっています。
そして「透明度が高い」という特徴があります。透明度が高いことのメリットはグラデーションをかけるととても綺麗に仕上がります。逆に下地の色が濃い場合はなかなか隠蔽できずに困る・・というデメリットがありました。
隠蔽力の高いアクリジョン

2019年2月に「アクリジョンのベースカラー」が新たに発売されました。アクリジョンベースカラーは隠蔽力が弱いという従来のアクリジョンの弱点をカバーした塗料です。 ベースカラーという名前があらわすとおり通常の塗料の下地として使用します。
- 色は白、グレー、赤、黄色、青、緑の6色
ベース(下地用)のため少し暗めの色味です。カラーサフのようなものとイメージしてください。マスキングをするように塗膜を形成していくのは今までのアクリジョンと同様です。ベースカラーはさらにサフの様な性質の顔料を入れることによって隠蔽力がアップしました。
アクリジョンが塗装できるのはプラスチックだけではありません。プラスチック以外にもABSやポリカーボネイト、レジン、金属類など様々な素材に塗装することができます。このため、サフでも食いつきにくい素材に対してベースカラーをプライマー代わりに塗装、その上から他の塗料を塗る、という使い方も可能です。
※完全乾燥後、ラッカー系、エナメル系などあらゆる塗料を乗せて大丈夫です

キャップに色がついている方が「アクリジョン」、キャップがクリアになっている方が「アクリジョンベース」です。
クラッキングについて

ちなみに、「水性ホビーカラー」の上にアクリジョンを乗せた場合は、収縮率の違いによってクラッキングという現象が起こります。塗り方によってはこのような現象が起こる場合もあります。

考動画
アクリジョンと水性ホビーカラーでクラッキング!
ハロでクラック塗装に挑戦!
アクリジョン専用 薄め液・ツールクリーナー

アクリジョン用の薄め液は筆用とエアブラシ用、そしてツールクリーナーがあります。
乾くまでは水で洗い落とせるため、筆塗りの場合はそれほど必要ありません。
- 薄め液は使っていなかったアクリジョンが固まってしまったり、濃くなってしまった際に、薄めるためには非常に役立ちます。
- 完全に乾燥した後は、水につけても塗膜がはがれません。やり直しが必要な場合は、専用のツールクリーナーを使用します。※ツールクリーナーは少し特殊な匂いがします。
今回は薄め液ではなく水だけで塗料を使ってみます!
しっかりとかき混ぜます

では、実際に使っていきましょう!
筆が乾いたまま塗料をつけていくと塗料が筆の根元まで入り、根元で固まりやすくなります。水で筆を濡らしてから使うようにしてください。
アクリジョンは塗料から水分が抜けないと定着しません。筆につけた水が多すぎると乾燥が遅くなりますので注意が必要です。そのため、筆を水につけた後はすぐにキッチンペーパーなどで拭き、筆がしっとりするくらいの水分量でOKです。基本的に塗料の希釈はしなくても大丈夫です。
アクリジョンを使う際は、しっかりと撹拌をします。
- 攪拌が不十分だと、色が綺麗に出なかったり塗膜の強さが発揮できないなどの原因になります
通常のアクリジョンを塗りました

通常のアクリジョンのシャインレッドを試し塗りしてみます。かなり重ねないと、透け具合が消えてくれません。一気にたくさん塗りすぎると塗料がたれることや端っこの方だけ色が濃くなることがよくあります。「薄く塗った後、塗料が乾くのを待ってから繰り返し塗っていく」というのが基本の塗り方になります。
アクリジョンは乾燥がとても早く約1分半~2分で表面が乾き始めます。しかし、内部の水分がなくならないと完全な塗膜は形成されません。晴れの日で4時間程度、湿度が高い日は2~3日程度はしっかり時間をおいて乾燥させるようにしましょう。
- 完全に乾くと、ラッカーやエナメル系の塗料を上から塗れるレベルの塗膜が形成されます!
アクリジョンが完全乾燥すると…

エアブラシでアクリジョンの インディブルー(ニパ子ブルー)を吹いたものです。
サフを使わずにエアブラシでただ吹いただけの状態です。完全乾燥するとで削っても塗装面が全く傷つきませんでした。

参考動画
【アクリジョンのエアブラシも解説】
ニパ子ブルーが2種類⁉それぞれの塗料を塗って色を比較!
ベースカラーを塗ります

次はベースカラーの方のレッド(ベースレッド)を塗ってみましょう。ベースカラーは、サフような成分が入っている分通常の塗料よりも沈殿しやすいので、よく混ぜてから使用します。
- ビンの底を混ぜている時とビンの上の方を混ぜた時の感覚がほぼ一緒になる程度まで混ぜるとOKです
こちらも、筆に少し水をつけ軽く拭いてから塗っていきます。
アクリジョンとアクリジョンベースの比較

塗ってみると、下地(スプーン色)の透け具合が全く違うのが分かります。
- アクリジョン→ツヤを出したい発色の鮮やかさや透明感を活かしたい場面に
- アクリジョンベースカラー→サフなど隠蔽力の高さを活かしたい場面に
と、使い分けていきましょう。
ベースになるカラーなので、基本的には塗料が乾いた後に、明るい色のアクリジョンを重ねて塗っていくのがおすすめです。ベースカラーは表面がマットになるのが乾燥の目安です。マットになるまで待ってから次の色を上に塗っていきます。
黒バックで塗ります

今度は、ベースカラーの隠蔽力を証明するために実験します。より発色しずらい黒いスプーンに塗ってみました。赤、緑、グレー、青の4色がしっかりと隠蔽されているのが分かりますね!
白や黄色では…

こちらの上下はアクリジョンベースカラーの白と黄色です。真ん中はアクリジョンの白を塗ってみました。白と黄色は、もともと隠蔽力が低い色です。この2色はベースカラーでも何度か重ね塗りする必要がありますが、通常のアクリジョンとは隠蔽力の差が全く違いますね!
筆を洗います

今回はコシがしっかりとした筆を使用しました。コシの強い筆は塗り終わりが少しかすれやすく広い面を均一に塗っていくのが少し難しいです。少し柔らかい筆の方がアクリジョンには向いていると思います。
アクリジョンは乾くのが早い塗料です。使用後はすぐに筆を洗うようにしましょう。
- 放置すると塗料が乾いて筆が固まってしまいます
- 色替えのタイミング以外でも、こまめに洗ってあげましょう

参考動画
【初心者向け】筆の基本的な使い方・手入れの仕方【フデピカリキッド】
まとめ

ベースカラーとアクリジョンの違いをお話してきました。それぞれの特徴を生かしながら一緒に使っていくとより楽しめます!
また、アクリジョン&アクリジョンベースカラーは混ぜて調色して使っていくことも可能です。
- 透明感&隠蔽力の性質も混ざり、量に応じて性質も中間になっていきます
アクリジョン&アクリジョンベースは、身体に優しい塗料です。ぜひ使ってみてくださいね。

★動画はこちら★
話題の塗料!アクリジョン&アクリジョンベース解説!【クレオスお姉さん
